★この仕事に魅せられた理由
それは、17年前の小さな出来事がきっかけでした。
町内会で開かれる夏祭りの会場を造る仕事を街の電気屋さんの見習いとして私は参加しました。夏祭りは何度も遊びに来た事はあるけれど、裏方の仕事として参加するのは初めての事でした。
祭りの会場である学校の校庭の真ん中にやぐらが建ち、そこから四方に無数のちょうちんを張り、電気を通し、音声を確保し、電気屋さんは淡々と会場を仕上げて行きました。夜になり、点検をかねてスイッチを入れると、無数のちょうちんが一斉に点灯されました。
その瞬間、このちょうちんの下で大勢の人々が踊り、はしゃぎ、笑い、楽しんでいる姿を想像し、胸が熱くなりました。そして、こうゆう仕事を簡単にやってのける電気屋さんが本当にすごいな!!と強く思ったのです。私もこんな仕事がしたい！人が喜んでいる姿、楽しんでいる姿を演出出来る仕事がしたい！と・・・・
ちょうちんは祭りの夜空に当たり前の様に光っていて、光っているだけで、祭りを盛り上げてくれています。でもそれがないと祭りは始まらないのです。決して目立つ事はないけれど、みんなを主役にしてくれる。そんな仕事がしたいと思ったのが始まりです。
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★忘れられない想い出
電気の仕事を始めて数年が経った頃の事でした。その頃は、ビルやホテルの仕事を必死にやっていた頃でした。
そんなある日、あるお客様から「母にＶＨＳの再生専用ビデオデッキをプレゼントしたいので取り付けて欲しい」との依頼があり、私が取り付けに伺った時の事でした。
お客様というのは、お母さんと遠くに住んでいる娘さんで、歳を取ってきている母でも簡単に扱えるビデオにしてほしいとの事、なかなか会えない孫のビデオを母がいつでも観られる様にと・・・・
取り付けは簡単に終わる作業でしたが、その時、その想いで贈ってくれた娘さんへのお母さんの感謝の言葉と感激の涙が今でも忘れられません。そして「電気屋さん本当にありがとう」と涙ながらにお礼をおっしゃって下さいました。その“ありがとう”は仕事をしていく上で、私の支えとなっています。
忙しい日々を過ごし、毎日の仕事に追われて何かを見失いそうになった時、なぜこの仕事を選んだのか、なぜこの仕事を続けて行きたいのか、この先のビジョンを考える時、私は、こんなことを思い出しています。そして、やっぱり私は、この仕事が好きなんだと思い頑張っています。 |
